テレビに流れた昔の紅白歌合戦、家族で思い出話に花が咲いた夜
日曜の夜、お風呂上がりにリビングのテレビをつけたら、昔の紅白歌合戦の映像が流れていた。
画面の中で歌手が大きな拍手を浴びていて、私は麦茶のコップを持ったまま手を止めた。
「この曲、すごく流行ったよね」と声を上げたのは里美だった。
パートから帰ってきて、ソファに座ったばかりだ。
私は調子に乗って、サビを口ずさんだ。
ところが歌詞は一行ずつ間違えていて、里美に「そこ違うでしょ」と笑われた。
和也はイヤホンを外して、「父さん、それ何の曲?」と聞いてきた。
十七歳の息子に昔の曲を説明するのは、なんだか照れくさい。
美幸は画面を見つめたまま、「この人、今も歌ってるの?」と鋭く聞いてくる。
中学生の娘は、こういうところをよく見ている。
話は自然と、私たちが若かったころに移っていった。
里美は「まだ付き合い始めたころ、一緒にテレビを見たでしょう」と言う。
私は覚えていないふりをしたが、里美はしっかり覚えていた。
すると和也が「母さん、そのとき父さんどうしてたの」と突っ込み、美幸が「お父さん、絶対寝ちゃったやつでしょ」と笑った。
図星なので何も言い返せなかった。
■ 思い出は、テレビの前で増えていく
紅白歌合戦は、年末に家族が同じテレビを囲む行事として、今も多くの家庭で親しまれている番組だと思う。
うちも年末になると何となくつけておくことが多いが、こうして昔の映像を前に家族で話すのは、思えば久しぶりだった。
私は文房具の営業をしているので、ノートや手帳を見るのは昔から好きだ。
その夜、思い出した話を小さなメモ帳に書き留めた。
「父さん、またメモしてる」と美幸が覗き込む。
里美が「忘れないうちに書くのは、いいことよ」と言ってくれた。
不思議なもので、話をメモに書いていると、まだ聞いていない家族の思い出も少しずつ浮かんでくる。
今度は子どもたちにも、小さいころの年末の話を聞いてみようと思った。
先週、家族で月を眺めた夜も似た空気だったので、その話は今日の月を家族と眺めた秋の夜にも書いてある。
次の年末は、紅白をつけっぱなしにして、今夜の続きを話そう。
読んでくださったあなたにも、家族と交わした懐かしい会話があれば、ぜひ思い出してみてください。
ありがとうございます。

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