おせち選びで家族の食卓を整える。年末の準備が新年の過ごし方を決めた
年末が近づいてくると、里美が「そろそろおせちのことを考えようか」と話しかけてくる。
今年も例外ではなく、リビングのテーブルに複数のカタログが広げられていた。
おっちょこちょいな私は、毎年「え、もうそんな時期?」と驚くのだが、妻の計画性には本当に頭が上がらない。
今年のおせち選びは、いつもと少し違っていた。
和也と美幸にも意見を聞いてみようということになったのだ。
正直なところ、子どもたちがおせちに興味を持つとは思っていなかった。
ところが、高校生になった和也は「栗きんとんより、黒豆がいい」と意見を述べ、中学生の美幸は「数の子が好きだから、たくさん入ってるものがいい」と真摯に答えた。
妻と私で「あ、そっか。
子どもたちも自分たちの好みがあるんだ」と改めて気づかされた。
それまでは、おせちは「新年の儀式」くらいにしか考えていなかったのに、家族それぞれが食卓に何を求めているかという視点が、ふっと浮かんできたのだ。
ネットショッピングで候補を絞る際も、家族で意見を交わすようになった。
「このおせちはどう?」と里美が画面を見せると、和也は栄養バランスを気にし、美幸は見た目の華やかさに反応する。
私は「値段と内容のバランス」という営業マンらしい視点で判断していた。
それぞれの視点が重なっていく中で、自然と「みんなが満足できるおせち」が見えてきた。
最終的に注文したおせちが届く日を、子どもたちが楽しみに待っている姿を見ていると、これはただの食べ物ではなく、家族が一緒の時間を過ごすための「きっかけ」なんだと感じた。
おせち選びという小さな準備作業が、新年の食卓をどんな雰囲気で迎えるかを決めているんだ。
武士道では「礼」を大切にすると聞いたことがある。
おせちを選ぶ過程で、家族の声に耳を傾けることも、その「礼」の一つなのかもしれない。
今年の正月は、いつもより少し特別な食卓になりそうだ。
こうした日常の小さな決断が、家族の時間を豊かにしていくんだと思います。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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