野球観戦の夜、家族四人でテレビを囲んで気づいた私の小さな失敗
■ 金曜の夜、ナイターの中継が始まった
私は金曜の夜、夕飯の片付けを終えてリビングに戻った。
テレビではナイター中継が始まったところだった。
「お父さん、もう始まってるよ」
ソファの端から美幸が声をかけてくる。
中学生の美幸は、宿題を終えたらしくブランケットを膝に掛けていた。
キッチンでは和也と里美が、お茶の準備をしている。
里美は今日もパートから帰ってきたばかりで、少しほっとした顔をしていた。
「今日は勝ってほしいね」
里美がそう言って、湯呑みを私に渡してくれた。
■ 得意げな解説が、少し恥ずかしい結果に
試合は序盤から静かな展開だった。
久しぶりの野球観戦に気分が上がった私は、つい解説役を買って出てしまう。
「ツーストライクからファウルを二回打ったら、三振になるんだぞ」
得意げに言い切った瞬間、美幸が小さく首をかしげた。
「お父さん、それは違うよ。
二ストライクからのファウルは三振にならないよ」
私は言葉に詰まった。
和也が笑いをこらえながら「父さん、それ自信満々で言うやつじゃん」と肩を揺らす。
里美も「あなた、いつも確認せずに話すんだから」と、ため息混じりに笑った。
美幸はスマホで野球のルールを調べ、画面を私に見せてくれた。
そこにははっきりと、ファウルでは三振にならないと書かれていた。
私は素直に「ごめん、勘違いだった」と頭を下げた。
恥ずかしい気持ちはあったけれど、正直に言えたことは少し良かったと思う。
■ 秋の夜の家族時間
その後も試合は続いた。
窓を少し開けていたせいか、足元がひんやりしてきたことに気づく。
すると和也が自分の部屋からブランケットを持ってきて、私の膝にかけてくれた。
頼もしいなと感じると同時に、子どもに気を遣わせている自分が少し情けなくもなった。
次に観戦するときは、ルールをもう一度確認してから解説役を務めようと思う。
画面の中で一球ごとに歓声が上がるたび、家族の笑い声も重なっていた。
秋の夜に同じテレビを囲んで過ごす時間は、思っていたよりも貴重なのかもしれない。
読んでくださってありがとうございます。

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